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おばあちゃんが東北弁で哲学する本 -「おらおらでひとりいぐも」

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芥川賞受賞作、「おらおらでひとりいぐも」(若竹千佐子)。ライブ感がある文体で、一気に読了。その面白さを上手に表現できない自分がもどかしい。必読。

 

基本的には、夫に先立たれた74歳の老婦人・桃子さんの思索と独白で物語が展開する。といっても、内省的ではけしてなく、桃子さんの魂の声は、ひらがな満載の東北弁、、、正直、何言っているか分からないことも、、、さらに、亡くなった夫や祖母、過去の自分、さらには謎の長老など、心に語り掛けてくる様々な声があり、哲学的ながらも井戸端会議のような愉快なテンポが作られている。

様々な人の期待に応えるように自分を作ってきた桃子さん。それが標準語の桃子さん(地の文)だとすると、東北弁の桃子さんは、心の奥底に抑え込まれてきた素の桃子さん。すごい不幸でもないけど、なんだか寂しい、でもそれなりではある、、、

夫に先立たれ、子供たちとも疎遠になる中、自分の人生は、このままで良いのだろうか、、、

故郷のこと、恋愛や結婚のこと、子供のこと、老いること、孤独とは、愛とは、自由とは、、、桃子さんは、そんな根源的な問に対して、自分なりの意味を見つけていく。

 

「おらおらでひとりいぐも」

 

いくらでも重くできるテーマを扱いながら、むしろエンタテインメント性すら感じられる稀有な本。「おばあちゃんの哲学」とはよく言ったものだ。