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インタビューを単なる一問一答で終わらせないために意識すべきこと -「聞く力」より-

会話というのは、一見簡単そうで、なかなか難しい。「聞く力」(阿川佐和子)は、これまでの膨大なインタビューや対談等の経験で得た「聞き手として大切なこと」を、成功談や失敗談を交えて披露する。事例紹介として取り上げられるインタビューは、城山三郎さん、北野武さんはじめ、いずれも著名人のものであり、彼らの意外な一面などが垣間見れて面白い。いわゆる自己啓発な側面もあるが、阿川らしいエッセイとして楽しむことができる。 

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主題を「聞く力」としているが、その本質は、話し手を尊重し、関心を持つということ。相手の話が立派である必要はなく、話そのものに、個々人の個性や経験等からにじみ出る面白さがある。それを丁寧に引き出し、読者に伝えていくのだ。

そのため、相手の心を開き、話しやすくする環境をつくることが有用になる。後に、本書の目次を掲げたが、「面白そうに聞く」「相づちの極意」「相手の目を見る」といった行為は、いずれも相手に関心を示すことにつながる。また、「柱を三本くらい立てる」「観察を生かす」「段取りを完全に決めない」といった点は、インタビューをインタラクティブなものとし、相手の話に最大限の関心と注意を払い、もっとも面白い話を柔軟に引き出していくために必要だ。「相手の気持ちを推し測る」「なぐさめの言葉は二秒後に」「安易に知ったかぶりをしない」など、相手を尊重する上での気配りにも触れている。

これらはいずれも、話し手を大事にし、あらゆる話に得るものがるとする心構えから自然に導かれるものばかり。インタビューと聞くと、なんだか一問一答のような形になり、質問ありきのような形になることも少なくない。そうであれば、アンケートに答えてもらえれば済むことであり、やはり、対面するからこそ得られる、私が会うからこそ引き出せる話というものに価値があると考えるべきだろう。

その点、本書で語られるエピソードは、阿川さんだからこそ、ならではのものばかり。野村克也さん夫妻との優勝インタビューが印象深い。野球に関する知識が全くなく、付け焼刃で臨むも、夫婦の掛け合いの妙に触れ、むしろ、その面白さを引き出していく。彼女ならではの着眼と付加価値だろう。

本書で書かれているインタビューの技法は、その一つ一つをとれば、特に目新しさを感じるものではないが、その根底にある、話し相手一人一人が持つ魅力を引き出すという視点に立つと、自然で理にかなっている。いずれも簡単なようで、当たり前のようにするのは、難しい。

私もインタビューをしたり、受けたりすることがあるので、参考としていきたい。

 

ちなみに、この本は、2013年の新書大賞受賞作です。

新書大賞の歴代ベスト5:現代の教養・知識を手軽に学べる話題の55冊 - mnemo

 

【参考】「聞く力」目次 

  1. インタビューは苦手
  2. 面白そうに聞く
  3. メールと会話は違う
  4. 自分の話を聞いてほしくない人はいない
  5. 質問の柱は三本
  6. 「あれ?」と思ったことを聞く
  7. 観察を生かす
  8. 段取りを完全に決めない
  9. 相手の気持ちを推し測る
  10. 自分ならどう思うかを考える
  11. 上っ面な受け答えをしない
  12. 会話は生ものと心得る
  13. 脳みそを捜索する
  14. 話が脱線したときの戻し方
  15. みんなでウケる
  16. 最後まで諦めない
  17. 素朴な質問を大切に
  18. お決まりの話にならないように
  19. 聞きにくい話を突っ込むには
  20. 先入観にとらわれない
  21. 相づちの極意
  22. 「オウム返し質問」活用法
  23. 初対面の人への近づき方
  24. なぐさめの言葉は二秒後に
  25. 相手の目を見る
  26. 目の高さを合わせる
  27. 安易に「わかります」と言わない
  28. 知ったかぶりをしない
  29. フックになる言葉を探す
  30. 相手のテンポを大事にする
  31. 喋りすぎは禁物?
  32. 憧れの人への接し方
  33. 相手に合わせて服を選ぶ
  34. 食事は対談の後で
  35. 遠藤周作さんに学んだこと