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地域活性化・地方創生に解はあるのか -「地方消滅」「地方消滅 創生戦略篇」

「このままでは896の自治体が消滅しかねない」

岩手県知事、総務大臣を歴任した増田寛也さんが座長を務めた日本創生会議が発表したレポートが出した結論。その衝撃的な内容は、マスコミにも大きく取り上げられ、地域活性化・地方創生に関する国民的な関心が大いに高まり、安倍政権における地方創生の議論を後押しした。

地方消滅」は、人口問題から地域活性化の必要性を提言する良書であり、「地方消滅 創生戦略篇」はその続編として、地方創生の処方箋について、冨山和彦さんとの対談を通じて深まていく。一見、地方「消滅」に目が向きがちだが、著者の想いは地方「創生」にあり、この2冊を合わせて読むことをお勧めしたい。

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日本の人口減少は、数ある将来予測中でもっとも確度の高いトレンドと言われ、その傾向はすでに始まっている。日本は2008年をピークに人口減少に転じており、このままでいけば、2050年に9,708万人、2100年には4,959万人にまで減少すると推計されている(「日本の将来推計人口(平成24年1月)」(国立社会保障・人口問題研究所)中位推計)。

この問題の深刻なところは、慣性のようなが働くからだ。仮に2030年に出生率が2.1まで回復したとしても、人口減少に歯止めがかかり9,900万人で安定するのは2090年頃。今すぐにでも対策が必要とされる根拠はここにある。

本書では、こうした人口推計や、都市間の人口移動の状況を踏まえ、2040年時点の20代~30代の女性の数を試算し、2010年と比較して若年女性が半分以下に減る自治体を「消滅可能性都市」とした。その結果、は全国の49.8%に相当する896の市区町村が該当した。うち、消滅可能性都市は、北海道や東北地方の山間部などに集しており、523市町村は2040年に人口が1万人を割る。

こうした危機に対する処方箋について、日本創生会議は以下を提言する。

  1. 人口減少の深刻な状況について国民の基本認識の共有を図る
  2. 長期的かつ総合的な視点から、有効な政策を迅速に実施する
  3. 第一の基本目標を「国民の『希望出生率』の実現」に置き、国民の希望阻害要因の除去に取組む
  4. 上記の実現のため、若者が結婚し、子どもを産み育てやすい環境づくりのため、全ての政策を集中する
  5. 女性だけでなく、男性の問題として取り組む
  6. 新たな費用は、「高齢者世代から次世代への支援」の方針の下、高齢者政策の見直し等によって対応する
  7. 第二の基本目標を「地方から大都市へ若者が流出する『人の流れ』を変えること」に置き、『東京一極集中』に歯止めをかける
  8. 「選択と集中」の考え方の下で、地域の多様な取組を支援する
  9. 生産年齢人口は減少するので、女性や高齢者、海外人材が活躍できる社会づくりに強力に取り組む
  10. 海外からの受け入れは、「高度人材」を中心に進める

地方創生の中核となるのは、地域に人を惹きつけるような「しごと」を創出こと。それにより「ひと」が集まり、「まち」が活性化する。そこでのキーワードは「選択と集中」「LとG」「生産性向上」「イノベーション」。

各地域が東京を目指すのではなく、地域の個性や強みを最大限活かし、労働生産性を高めていく。IoTやAIといった技術も活用し、地域が抱える課題をチャンスと捉え、イノベーションを創出していく。

そうした地域活性が、ひいては東京といった大都市の変革にもつながっていく。

 

個人的に著者の論に違和感は感じない。

ただ、地方自治体レベルでも無数の地方創生戦略が描かれたが、いずれも似たようなものに映るのは気のせいだろうか。

 

ちなみに、本書は2015年度の新書大賞受賞作です。

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