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不透明な時代だからこそ熟読したい。未来について考えるための知が身につく良書10+1

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不確実性の時代と言われて久しい。技術革新が加速し、世界は第4次産業革命(ところによりSociety5.0)とも言われる大きな転換点を迎えつつあるとの指摘もある。

 

未来を見通すことは(神様以外)きわめて難しい、というか不可能だろう。最近の流行りのようだが、例えば、2050年はどのような世界になっているのか。それを予見することが、どれほど難しいかは、過去の世界から今を想像できたかを考えてみると分かりやすい。今から35年前の世界、1980年頃は何が起きていただろうか。パソコンや携帯電話・スマートフォンもまだ普及していなかった時代に、今のような世界が現実のものとなっているなんて、少なくとも私にはとてもできなかった。

だからといって、未来について考えなくてよいわけではない。むしろ、先人たちが必死に考え続けてきたからこそ、今があるのだと思う。

今回紹介した10冊(+1)は、私が仕事で未来に関して勉強した時に読み、その後、知人に聞かれた際に推薦したもの。読了するのに時間と知的体力を要するものがほとんどだが、労をかけただけの価値がある(と信じている)。

表層的な変化の延長線上にある未来予測は簡単だ。しかし、ここで取り上げた著作の多くは、人文科学・社会科学・自然科学の様々な方法論を駆使し、過去から現在に至る本質的な流れについて深い洞察を行い、論理的に妥当性の高い将来像を描いている。これらの書を読むことは、未来について考えることを通じて、未来の前提となる現在、過去から続く現在についての理解を深めることにもつながるはずだ。 

 

 

1.アメリカ国家戦略のベースとなる予測 

 

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2030年 世界はこう変わる」(米国国家情報会議、谷町 真珠)は、新大統領の就任に合わせて、4年に一度、米国国家情報会議が公表する近未来のトレンド分析の邦訳。公文書であり、原文はGlobal Trends 2030として、米国国家情報会議のHPより無料でダウンロード可能。

アメリカの国家戦略を分析する上での前提とも言われており、2030年までの世界の構造変化の潮流を、(1) 個人の力の増大、(2) 権力の拡散、(3)人口構成の変化、(4) 食糧・水・エネルギー問題の連鎖、と捉えて分析。その性質上、堅実というか、コンサバティブな予測となっているが、それだけに精度が高いとも言える。

文量もそれ程多くないので、まだ読んでいないのであれば、必読。但し、2017年1月に、最新版となるGlobal Trends: Paradox of Progressが公表されたので、英語でも大丈夫な人は、ぜひこちらも。まだ邦訳がないようなので、時間ができたら、紹介してみたい。

(2017年8月17日追記)

アメリカ国家情報会議が描く将来の世界(1) | Global Trends: Paradox of Progress - The Future Summarized - mnemo

 

2.地政学から見る未来

 

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未来予測は外れるが、地政学的にロジカルに導かれるトレンドはある。「100年予測」(ジョージ・フリードマン、櫻井 祐子、原題:The Next 100 Years)は、米情報機関ストラトフォーの創設者による論考。地政学(Geopolitics)というと、日本ではあまり馴染みがないが、国家戦略に科学的根拠と正当性を与えるものとして、欧米では重要な研究が多くなされている。

発刊から数年経過しており、予測通りのこと、予測を超えた展開になっている出来事等があるが、むしろ重要なことは、地理的な環境という、短中期的には変えがたい前提を元に、ロジカルにどのような予測が可能かを論じている点にある。

ロジックは、グローバルなコミュニケーションの前提であり、地政学的な思考もその一つ。安全保障について日常的に考えることが多くない人にとっては、興味深い本になるはず。

 

 

3.成長の限界は来るのか

 

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1972年に出版された「成長の限界」は、人口増加・経済成長(幾何級数的な成長)と地球の物理的制約(等差階級的な成長)の関係性にチャレンジし、その後の環境研究の古典となった。

環境問題は、不確実性を排除することはできないものの、人類最大の課題の一つとも言われている。「成長の限界」から40年が経ち、「2052」(ヨルゲン・ランダース、 竹中平蔵 解説、原題:2052)は、改めて、今後の40年を、持続可能な開発の視点から、最新のデータ、より高度なシュミレーションに基づき展望する。その予測結果は衝撃的であり、環境問題をライフワークとする人たちの主張を後押しするものだ。

若干思想的な側面も語られるため、その部分に違和感を感じる人もいるかもしれないが、人類の未来を考えるにあたって、また違った視点を提供してくれる良書。

 

 

4.現代の哲人が見通す未来

 

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農耕社会(第一の波)、産業革命による工業化社会(第2の波)、そして、エレクトロニクス革命による知識社会(第3の波)の到来。この第3の波の行き着く先の全く新しい生活様式と文明とは。様々な学術分野を統合して初めて語ることのできる未来。それは、過去・そして現在への深い洞察から始まる。

イノベーションの鍵を握る科学技術の幾何級数的な進歩。富の形態と体制の転換と、その根底にある時間、空間、知識の本質的な変化。金銭経済と対をなすボランタリーな生産消費経済の拡大、仮想空間上の新たな市場の創出。新たなパラダイムの創出とその適応のスピード。

その深い洞察に、また読み返したくなる大著。

富の未来 上巻下巻」(トフラー,A.、 トフラー,H.、原題:Revolutionary Wealth

 

 

5.科学技術の発展に見る未来 

 

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文明を形作るものとしての「科学」の存在は極めて大きいと考えている。

2030年、2070年、2100年の各段階までに技術革新はどこまで進み、それによって人々の生活はどのように変わるのか。そのインパクトが大きいほど、新しい文明の有様も大きく変わる。「2100年の科学ライフ」(ミチオ・カク、斉藤 隆央、原題:Physics of the Future)は、将来実現するかもしれない技術とそのインパクトについて、科学者の視点から描いた良書。

ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、宇宙等々、これまで科学から縁遠かった人にこそ読んでもらいたい一冊。

 

 

6.シンギュラリティを迎えた人類の未来

 

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2045年。人工知能が全人類の知能を超えた瞬間「シンギュラリティ」を迎えるとの予測がある。科学者の間でも、その実現可能性に対して相違があるだけでなく、その後の人類への影響についても対立があるところ。

ポスト・ヒューマン誕生」(レイ・カーツワイル、井上 健、原題:The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology )で描かれる未来は衝撃的だ。人類を超えるAIの誕生、そして、遺伝子工学、ナノテクノロジー、ロボット工学の進化による不死の身体の獲得、、、しかし、それ以上に、人間とは何か、科学技術と倫理はどうあるべきかといった根源的な問いに向かわざるを得なくなる。

非常に難解な著書だが、今起こっている人工知能ブームと、科学技術と倫理に関する議論を考えるために重要な書。

 

 

7.ロボットにより仕事がなくなる日

 

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現在起こっている技術革新は、第4次産業革命とも言われている。産業革命と呼ばれる時代では、職が奪われるのではないかとの不安が常にもたれかかるが、今回も例外ではない。

これまでは新たな職が生まれることで代替されてきたが、「ロボットの脅威」(マーティン・フォード、松本 剛史、原題:Rise of the Robots)が描く未来はけして明るくない。人工知能、ロボット、ソフトウェアの急速な進化はブルーカラー、ホワイトカラーを含め大量の失業、不平等の一層の拡大を生み、経済社会を破壊する。その処方箋については、壮大な社会実験が必要だ。

いわゆる知識層も免れ得ない。第4次産業革命の負の側面を考える視点を与えてくれる一冊。さらに勉強したい人は、「ザ・セカンド・マシン・エイジ」(エリック・ブリニョルフソン他、原題:The Second Machine Age)もどうぞ。

 

 

8.ゲノム編集が変える世界

 

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ゲノムの編集により、人間は神の領域へ。今は、IoTや人工知能がブームだが、IT技術の恩恵を大きく受けているのが、この分野だ。そして、そのインパクトは計り知れない。

少し勉強しようと思って偶然巡り合ったのが本書 「ゲノム編集の衝撃」(NHK「ゲノム編集」取材班) 。NHKが編集しているだけに、ゲノム編集の基礎や、研究開発競争の現状、倫理の問題等、分かりやすく網羅的に整理しており、入門書に最適と言える。「ゲノム編集とは何か」(小林雅一)もおすすめ。

人はどこまでなら許されるのか、、、怖い怖い。

 

 

9.近未来の働き方 

 

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技術革新、グローバル化、人口構成の変化・長寿化、個人・家族・社会の変化、エネルギー・環境問題、、、こうしたメガトレンドは、我々の働き方にどのような変革を求めつつあるのか。

ワーク・シフト」(リンダ・グラットン、池村 千秋、原題:The Shift)は、今後、重要となる3つの資本(知的、人間関係、情緒)を鍛え、「連続スペシャリスト」「コラボレーション」「価値ある経験」を通じて、自由で主体的な人生を送ることを提唱する。その主張はシンプルだが、これまで挙げてきた書と親和性が高い。

人によっては厳しい見通しを突きつけられるだろう。未来をリアルなものととして捉え、現在の働き方を見つめ直すきっかけとなるのではないか。

本書が気に入った方は、100歳時代の人生設計を指南する「ライフ・シフト」(リンダ・グラットン 、アンドリュー・スコット、池村 千秋)、原題:The 100-Year Life)もおススメ。そんな歳まで働いたり、勉強したくもないが、、、

 

 

10. コンピュータと人間のつながり

 

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魔法の世紀」(落合陽一)は、今回取り上げるか非常に迷った一冊。本書の主張について漠然と共感するものの、自分の言葉で説明することが難しかったからだ。正直なところ、しっかり理解できているか怪しい。それでも取り上げたのは、これまで紹介してきた本とはまた異なるアプローチで未来を論じているからに他ならない。

ITに代表される技術革新により現れる<魔法の世紀>。記録媒体の束縛から解放された映像。表層のデザインと深層にある価値の関係性もまたパラダイムシフトが起きている。そして、コンピュータと人間の新しい共生とは。

テクノロジーの本質から、デザインによる価値創造の在り方まで、筆者の思考を追体験する意欲作。

 

 

+1 第4次産業革命の鳥瞰図

 

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最近、第4次産業革命について、分かりやすい本が無いか問われた時には、英語でも問題なければ本書(「The Fourth Industrial Revolution」(Klaus Schwab))かその元となった書籍を紹介している。産業革命と聞くと、製造業の生産革新と狭くとらえる向きががあるが、その広さ、スピード、インパクトは、それに留まるものでは全くない。

他の時代に類を見ない、今まさに生じている劇的な変化。世界経済フォーラム創始者による、明るい未来に向けた伝道書。